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キューバ紀行 文:小島太郎

♪ジャンボジェット機と呼べるのかな?小型の飛行機のタラップから降りると、ムッとした熱い空気、強い日差しが顔に照りつけてくる。飛行場といっても周辺は見渡す限りのさとうきびや畑や荒畑。あまりの日本からの時間の長さにもうことばも出ないといった感じでした。(メキシコで乗り換えの為だけの意味のない1泊を入れると2日半位かかったかな?)とにかくやっと着いたーー!



♪今回の旅の目的は明確です。以前日本を代表する演奏家Nさんに紹介していただいたキューバ人のミスターKにまず会いキューバ音楽とラテンジャズの世界的な演奏家にレッスンを受けるためのコーディネイトをしてもらうのです。到着したばかりの疲れた身体にむち打ってさあ行動開始!Kさんにちゃんと会えるかなー?キューバは特殊な国家体制と聞くし、治安も不安だしなによりも言葉。何年か前にスペイン行って以来スペイン語は全く使ってないしナー。首都ハバナの街に関しても余り調べてこなかったし、大丈夫かな?映画サルサやKyokoでチラッとシーンを見ただけだし、こんなことならいまヒットしているキューバ映画ブエナビスタソシアルクラブ見とけばよかったかな?今さら遅いよな。気をとりなおして、さあ!バスに乗って、目指すはハバナの街へ!


♪ハバナに到着!嬉しー!ハバナは海がきれいで、港があり小さな繁華街がありレストランも沢山ありキューバ音楽を楽団が野外各所で演奏しています。世界遺産に登録されているだけあり、ハバナビエハ(旧市街)はきれいで治安も良くビックリしました。昔にタイムスリップしたような美しい街並みの秘密は、スペインやアメリカの影響下にあった時代の古い建造物とカリブ文化の融合で生まれたノスタルジアな街並みと色彩は当然ながら、国営でまかなわれているキューバでは民間企業が存在しないので、先進国にありがちなそこらじゅうに宣伝看板ベタベタ状態がまったくないからかな?いたずら書きも馬の糞も落ちてないぞ。テレビつけてもCMもない。カストロがずっとなんか演説してるな。ちなみにキューバ&カリブ周辺のラテン諸国がたどった歴史,政治,音楽史等は、音楽紀行コーナーでは触れません余りにも長く深いので、詳しい話を聞きたい方は、音楽教室のラテンジャズの歴史授業で!

♪まずは腹ごしらえといきたいが、うまいキューバ料理でも食べたいがどこにいけばいいのかな?ホテル料理では味気ない気がするな、街並みも見たいしな。食堂さがして歩いてゆくと、黒い2人組みがニコニコしながらアピールしてきました。「僕らの親戚が美味しいレストランやってるよ道案内してあげるね。」何と強引な人達!でもついて行こう。さてだいぶ歩いて着いてみると何だ?

ただの小さな民家(民家といってもスペイン時代の由緒はあるがボロ建物を皆が集合住宅よろしく使っている)じゃないか!聞くと自宅でもテーブルが2つあると食堂営業できるとのこと。確かに2つ有るが、となりにはこの家の子供がフツーに飯くってるぞ?ホントにこれレストラン?でもお腹空いたので、ロブスターのしっぽフライとコングリ(しょっぱいおしるこをライスにかけたの)とフフデプラタノ(バナナフライ)を頼みました。するとさっきの2人組みが怒ってる様子なので「どうしたの?」と聴くと、案内料にセルベッサおごれとのこと。

ビールご馳走すると、ニコニコしながら早口でなんか言って手を振って出ていきました。ホントにこの家の親戚なのかな?ただのナビゲーター野郎じゃないの?ごはんも美味しかったしまあいいさ。早速キューバで新曲フフデプラタノで演奏される。アフリカ的な音楽ルンバグワングワンコー。ラテン、ジャズ、ゴズペルなどの音楽のルーツを観たような衝撃がありました。ルンバは黒人だけで演奏されて音楽というよりも儀式の様でした。アフリカやマリア様をコール&レスポンスで歌っていました。最後に演奏会では無いですが、ボッシュ先生が来月スウェーデンのジャズ祭出演用にリハをやるのでと、リハーサルを見せてくれたのですが、ラテンジャズの新曲も凄かったが、リハの前にやったウォーミングアップのジャムセッションこれがまた凄い、僕らジャズマンもFブルースやバップの曲などよくやるが、コルトレーンのモーメンツノーティスを狂ったような速度と凄いアドリブでやり始めたので、また長い時間演奏する事!目が飛び出た!


♪余談ですが、国営で国から決まった給料が国民に支払われているキューバでは、経済を観光(ヨーロッパからなどの観光客)に頼る部分も多いのですが、観光等に携われる人が多くの外貨を持ってしまい、持てない一般の国民との間に経済格差が生まれてしまっている現状が有ります。街角で演奏してる楽団の人も国家公務員だそうです。給料を聴くと日本のお金で日本人の月給の100分の1。少なーい!でもこの国は医療、食料、教育、住居、職業などは、国から殆ど支給されます。文盲率も世界のどの国よりも低いそうです。学校で技術を教えるので、手に職を殆どの人が持ち仕事に役立つそうです。
おっと!しまった政治経済の話は無しと言ったばかりなのに。それにミスターKに会わないと。まずは電話!♪翌日にミスターKと会えました。ミスターKはキューバを代表する演奏家をほとんど知っている人です。先日電話で、「誰にキューバ音楽のレッスン受けたいか?」と聴いてきたので「誰でもいいです」と答えると、「理論と演奏方法をブエナビスタソシアルクラブのサルバ氏に、ピアノとリズムを元チャランガハバネラのボッシュ氏に学ぶといい」と言いコンタクトとってくれました。な何とハバナで、ブエナビスタのメンバーに会えるの!教えてくれるの?!



♪また余談ですが、キューバの演奏家の学歴は、一般的にハバナ高校に子供の頃から勉強してきたなかから選ばれた音楽エリートが入学できるらしいのですが、学校では300人の生徒に250人の先生が教えるらしいです!なんと主にロシアのクラッシックの授業、ラテン音楽、キューバの伝統音楽を学ぶそうです。ハバナ大学に入る頃はすでにプロと一緒に演奏できるそうです。アメリカ文化を認めていないので、表向きはジャズやソウルは無いようですが、多分マイアミ辺りからラジオが入ってくるので、皆聴いていると思う。なぜならばキューバの現代サルサはかなりヒップホップの影響が有ると思うので。


♪もう一つ余談で、キューバを脱出しようとする人もいるらしい。アメリカンドリームを目指してのことでしょう。お金を作りクルザーなどに乗せてもらい出て行ってしまうのです。しかし貧乏な人はイカダで海を渡ろうとする人もいるらしい。サメのお腹や嵐に飲み込まれてしまうのがほとんどみたいです(悲)
キューバでは比較的自由に海外へ演奏旅行出来るミュージシャンは憧れの職業なのです。キューバでは考えられない金額のギャラも貰えるからでしょうね。亡命する音楽家もいるようですが、ハバナで会った音楽家達はとても故郷キューバを愛しています。温かい気候 (熱すぎかな)、果物、ラム酒、葉巻、音楽これがキューバなのですから。

  
かやはら音楽教室