鬱も色々

 今の世の中、かなりの人が何らかの原因で鬱に苦しんでいる。その人達に共通しているのが、とても生真面目という点だ。

 周囲から嫌われても全く意に介さない人や、今日は今日、明日は明日と、割り切る事が出来る人は鬱とは無関係と言えるかも知れない。

 でも、そんな人達の中にも、本当は鬱で苦しんでいる人が居るのかも知れない。
いつも、明るく振る舞っている人が、突然!塞ぎ込んでしまうという事がある。それは、いつも明るく振る舞う事に疲れてしまったからだ。

 時々耳にする話に、漫才師は家では殆ど口ををきかないという。彼らは常に人前で笑顔を見せなくてはならないので、本来の自分に戻った時、静かにしていたいのだと思う。

 幾ら元気な人であっても、こころが疲れたら身体の何処かに異常をきたす。

布団に入っても中々眠れない。夜中に何度も目を覚ます。
まったく何もする気になれない。何故かいつも頭が重い。
何を食べても美味しくない。人と話をしたくない。

 それらの中に必ず打つの陰が潜んでいる。でも、本人が気づかない場合があまりにも多い。私のように。

 私の場合、先輩の陰湿な虐めと、謂われのない上司の虐めが原因だと解っていたから未だ良かったのかも知れない。

 何故なら、時が経てば相手から離れる事が出来るから。

 とは言っても、毎日、毎日、何時間も謂われのないお説教をされていると、流石に神経がおかしくなる。

 自分が間違いを犯したのなら仕方がないと諦めもつくが、単なる八つ当たりに相手にされたのでは堪ったものではない。

 常に仕事が頭から離れなかった時期があった。

 布団に入っても中々眠れず、いつも重い身体を引きずるようにして仕事をしていた。そして、毎晩、大きな寝言を言っていたと妻から聞かされた事がある。

 それが、常に仕事の事だったと知って愕然とした。

自分ではそれ程こころは弱くないと思っていても、身体が衰えると気が弱くなるように、疲れが溜まってくると、何時しかこころも疲れてしまう。

 最近では、休耕田を利用して家庭菜園として貸し出している所を見掛けるようになった。

 休日ともなると、色々な人が慣れない畑仕事に汗を流している。それでも、一生懸命働いているのは、その先に収穫の歓びがあるからだ。

 こころが疲れたら身体を動かせと言われるが、適度な運動は確かにこころの疲れを癒してくれる。

 でも、鬱で苦しんでいる人達の中にはそれさえ出来ない人がいる。

 いつも暗い顔をして、殆ど何もしない。いや、何も出来ないのだ。
 そんな彼らであっても、周りの人達が温かく見守ってくれたら、きっと元気になる。温かく見守り、そして、優しく手を差し伸べてあげたら。