小母ちゃん

 今は診てやれなくなりましたが、以前は週に一度は行ってマッサージをしていました。最初は小父ちゃんだけでしたが、いつの間にか小母ちゃんが中心になってしまいました。

 以前は毎日、胸が重苦しい!と言っていたのに、3年ほど前から畑仕事までするようになりました。地元の人は身体が弱いのを知っているので、あまりの変わりように驚いたと言います。

 私が通い始めた頃は、マッサージの度に悲鳴を上げていましたが、1月経ち、2月経つ内に次第に痛がらなくなり、何時しか私の行くのを待っているようになりました。

 マッサージを始めた頃は、心臓に穴が空いているとは知りませんでした。小母ちゃんが、最近は心臓が楽になった!と言ったので不思議に思っていると、私は生まれた時から心臓に穴が空いているんだよ!と言ったのです。

 その為、いつも胸が重く苦しかったけど、毎週マッサージに来てくれるようになったら、胸に重苦しさがなくなったので、とても楽になったと言いました。その話を聞いた時はとても驚きましたが、同時にとても嬉しくなりました。

 私は、休みの日にしか行けませんのて、足の電動ローラーを使うように!と言い、それ以外にも自分で出来る事をしてもらいました。その結果、次第に顔色も良くなり笑顔になりました。

 私も用事が出来たり、時には行きたくない!と思う事が何度もありましたが、私の来るのを首を長くして待っているのを知っているので、多少は体調が悪くても出掛けて居ました。

 私が通うようになって4年ほど経った時の事です。小母ちゃんか急に体調を崩してしまった事があります。丁度、梅雨時でもありますし、元々心臓に問題を抱えている人なので、私も必死になってマッサージをしましたが、どうしてやる事も出来ませんでした。

 このままでは入院する事になってしまう!と感じましたので、急いで家に戻り、1本だけ残っていた栄養剤を持って、改めて出掛けたのです。私が薬を持って戻って来たので二人とも驚いていましたが、私が何も言わずに飲みなさい!と言ったら、素直に飲んでくれたので、その後で詳しい説明をしました。

 その薬は、母が夏の暑さの為にすっかり体調を崩してしまい、栄養を吸収する力が急激に落ちてしまい極端に痩せ始めたので、私が長年付き合っている薬局に相談した処、これが一番良い!と言って勧められた物です。

 父にも介護が始まってから少しずつ飲ませていましたが、その時の残りが1本あったので、もしかしたら効いてくれるかも知れない?と一縷の望みを掛けたのです。

 帰る前に、夕方まで様子を見て、もし何も変わらなかったら直ぐに病院へ連れて行くように!少しでも顔色が良くなったら明日まで様子を見ても良い!と言い残して自宅に戻りました。

 翌日、気になって顔を出したら、少し元気になっていましたので、もうこれで大丈夫だとほっと胸を撫で下ろしました。1時間程マッサージをした後、改めて薬の飲み方を指示しました。以来、小母ちゃんにとってその薬は欠く事の出来ない物になりました。

 それから暫くして、畑仕事をするようになったと言ったので驚きました。元々、農家の人ですが、息子さんが跡を継いでくれたのと、自分の具合が悪くなったので出来なくなっていたようです。

 そんな訳で、今でも気が向くと畑へ出ては野菜を作っているようです。

 私が体調を崩した事を告げると、とてもがっかりしていました。それでも、出来るようにやってみるよ!と言ってくれました。

 その時、もう3年以上お医者さんに行っていないよ!と言ったのでとても驚きました。すっかり体調が良くなったので、病院へ行く必要がなくなったのだと言った後、先生も薬局の人も首をかしげていると言って笑いました。

 それは、私の話を聞いて真剣に努力した結果だと思います。確かに、私も週に一度はマッサージに行っていましたが、とてもここまで元気になるとは思ってもみませんでした。

 何はともあれ、元気な人が一人増えたので、とても嬉しくなりました。