魔法の言葉
父の介護をしてゆく中で、私達が本当に有難かった!良かった!と感じた言葉があります。それは、「ごちそうさま」という言葉です。 この言葉は、色々な人達の話をまとめた、「命をみつめて」という講話集の中のCDの一枚に京都のわらじ医者こと、早川一光先生の話があり、そこにあった言葉です。 私の父のように呆けてしまうと、食事が終わった直後でも「ご飯まだか!」とか、「未だ食べていない!」という事を言い出します。 我が家でもご多分にもれず、そんな日々が続いていました。そんな時、出会ったのがこの言葉です。 先生のお話の中に、「お年寄りは食べたという事を忘れてしまうので、食事をする時は一人で食べさせるのではなく、家族全員で食卓を囲み、出来るだけ皆一緒に終わるようにして、ごちそうさま!と言って、お箸を置くようにすると、お年寄りもつられて箸をおくようになる」という言葉がありました。 それを聞いて、これは使える!と思ったのです。それで、早速、妻にその事を話 て、その夜から実行しました。我が家では夕食は家族全員で食べますが、お互い 速さが違うので、私が父に合わせるようにしました。 父が終わるのを待って、父に聞こえるように大きな声で、「ごちそうさま!」と言って箸をおき、それと同時に「ごちそうさまだよ!」と言って、父の箸と茶碗を取り上げました。 父はあっけにとられて何か言いかけましたが、相手が男の私なので何も言いませんでした。 これが、妻だったら大変だったと思いましたが、男の私なので逆らう事が出来なかったのだと思います。朝食は時間の関係で、父だけ別にしていましたが、常に妻がついて居るので、何とかしてくれました。 妻の時も何か言いかけたようですが、大きな声で、「ごちそうさま!」と言われてしまったので、諦めたようです。それから、3日くらいは何か言い掛けたりしましたが、その内に何も言わなくなりました。 そればかりか、ごちそうさま!と言って、箸と茶碗を取り上げるようになってからは、一言も「ご飯を食べていない!」とは言わなくなりました。 ですから、我が家にとってこの言葉は、まさに魔法の言葉なのです。 何となく話を聞いてみたくなって買ったCDでしが、この言葉を知ったお陰で、どれだけそれからの介護が楽になったか解りません。 早川先生は、京都で長年患者さんを診てこられましたが、その方の言葉だけに素直に受け止める事が出来たのだと思います。 介護でご苦労されている方も多いと思いますが、もし、お困りになった時は是非とも、この言葉を使ってみてください。少し時間は掛かりますが必ず良い結果が出ます。 |