この人とは、川根の温泉が少し場所を移動し、建物を大きくして設備も良くなり、名前もそれまでの「茶里夢の泉」から「ふれあいの泉」と名前を変えてから会いました。
私が何時ものように露天風呂へ行った時、風呂に首まで浸かり、顔を真っ赤にして汗をかきながら、しきりに肩を揉んでいる人を見掛けました。
いくら10月で山の中の露天風呂で涼しいとはいえ、そのまま放っておいたら湯あたりする危険性があったので、声を掛ける気になったのです。
例によって、肩凝りですか!と聞いたら、「大工をやっているんだが、肩が痛くて腕が思うように挙がらないんだ!」と言ったので、それでは心臓に負担が掛かるだけで少しも良くなりませんよ!と言ったら驚いていました。
五十肩の場合、少し長目に風呂に入ってもらう事になるので、腰湯にした方が良いですよ!と言うと、直ぐに浅い処に移動してくれました。その為、私も隣へ入って、五十肩の対策について話をする事にしたのです。
顔は相変わらず真っ赤で、まるでゆで蛸のようでしたが、上半身を出しているので黙っていても、いずれ元に戻るので放っておきました。
取り敢えず、それまで頭にのせていたタオルを痛む方の肩にのせてもらい、タオルが冷たくならないように、時々お湯を掛けているよう言いました。
それから、五十肩の対策について簡単に説明しました。顔の色が少し元に戻り掛けた頃に、もう楽に動く筈ですよ!と言ったら、怪訝な顔をしていましたが、試しに動かした処、ご本人が驚くほど楽に腕が動きました。
それまで、ご本人が必死になってやっていても良くならなかったのに、私と話しているほんの数分の間に腕が楽に動くようになったので、その驚きようは尋常ではありませんでした。
私は、以前と同じように温泉の効果を利用しただけですが、ご本人にしてみたら大変な驚きだったと思います。
まったく見ず知らずの相手に突然声を掛けられ、それまで動かないと思っていた腕が楽に動くようになったのですから、驚くのも当然だと思います。
この人は焼津から来たと言ったので、地元に温泉があるのにどうして来たんですか?と聞いたら、焼津では駄目だったが、ここで良くなったので日曜にしか来られないが、早く治したいのでやって来た。と言いました。
その為、この温泉と焼津の温泉は少し成分が違うけれど、効果はそれほど変わらないから、暫く通ってみたどうですか?と言っておきました。
この人とも二度と会う事はありませんが、少しでも良くになってくれている事を願っています。
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