水質検査のすすめ
水の豊富な静岡ではまだまだ地下水を飲料水にしている地域は多いですが、
(平成11年度の行政人口に対する給水人口の普及率は91.5%・・・静岡市水道局資料より)
地下水は常に同じ状態を保っているとは限りません。
なぜならば、常に流れている生きた水だからです。
つまり、災害や洪水、宅地造成、道路工事、汚染物質などの環境によって、
少しずつ水質は変化している可能性があるのです。
市などが管理する水道水は各家庭やビルまでは水道事業者が責任をもって、
水質管理し、安全に送られてきますが、家庭や施設内での管理や、井戸水の管理は、
その所有者が行わなければなりません。
静岡市保健福祉部保健所環境衛生課では井戸水などの
水質管理について次のように推奨しています。
▼ 井戸水などの衛生管理・・・
井戸水などを新たに飲用する場合は、使用開始前に、水質検査を行って安全を確認しましょう。
井戸水などは、年1回程度水質検査をしましょう。
なお、異常があったときは保健所にご連絡ください。
井戸の周囲は清潔にし、汚染防止に努めましょう。
どんな検査をするのでしょうか?
1・色度(5度以下)
水の着色には、主として地質による場合と、給・配水管の鉄の溶出による場合とがあります。
外観上、不快感を与えるために決められた値です。
2・濁度(2度以下)
水の濁りは、無機・有機の浮遊物質及び微生物によって生じますが、主なものは泥土です。
また、鉄が多くても濁りを生じます。
3・臭気(異常でないこと)
腐植質による臭気が最も普通で、土臭・汚泥臭・カビ臭として感じられます。
鉄が多い場合は金気臭がします。硫化水素の臭気は、地質によることがほとんどです。
また、下水、汚水、工場排水、油類などの混入や、細菌などの繁殖によって生ずることもあります。
4・pH値(5.8〜8.6)
酸性・アルカリ性の度合いを表わす数値で、pH7が中性です。
数値が小さくなるほど酸性が強く、大きくなるほどアルカリ性が強くなります。
一般に自然水のpHは、溶存する二酸化炭素と炭酸塩の割合によって定まり、
地質成分により左右されます。そのため、地下水のpHは6.2〜6.8くらいとなります。
これ以上低い場合は、多量の硝酸性窒素や二酸化炭素の存在や工場排水の混入などが考えられます。
pHが低すぎると、受水槽等にコンクリート構造物や配水管などを腐食しやすくなります。
pHが8.0以上になるのは特殊な場合で、
海水・アルカリ性温泉水・工場排水などの混入やコンクリート工事の影響が考えられます。
5・硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素(10mg/l以下)
水中の亜硝酸性窒素は種々の窒素化合物が酸化されたもので、汚染の目安のひとつになっています。
肥料を多量に散布すると、地下水中の硝酸性窒素値が高くなる場合があります。
これらを多量に含む水は、胃液の酸度の低い6ヶ月以内の乳幼児では、
血液の酸素運搬力を低下させる場合がある(メトヘモグロビン血症)ので、長期間飲用するのは好ましくありません。
6・塩素イオン(200mg/l以下)
水中の塩化物(塩分)のことで、塩素消毒による残留塩素とは異なります。
下水や、尿中に多量に含まれている塩素イオンは、水の汚染の目安のひとつになります。
しかし、雨水・海水・工場排水などの影響も大きく受けるので、
量の多少よりもむしろ突然増加する場合の方が、汚染の可能性があります。
基準値以上になると塩味を感じるようになります。
7・有機物等(10mg/l以下)
水中に含まれている有機物や酸化されやすい無機物の総量を示すものです。
汚水等の混入により増大するので、汚染の目安のひとつとなります。
しかし、地質にも由来して高い値となる場合もあります。
8・カルシウム、マグネシウム等(硬度)(300mg/l以下)
水中のカルシウムイオンの総量で、自然水中に広く分布しています。
主に地質に由来しますが、海水・工場排水・下水などの混入によることもあります。
硬度の高い水は、肉類・野菜の調理に適さず、茶やコーヒーなどの味を悪くします。
一般的にはカルシウムが多く、マグネシウムが少ないのですが、
マグネシウムが多量であると下痢を起こします。
日本の水の硬度は100mg/ι前後です。
日本人が外国の水で下痢をしたという話をよく聞きますが、これは先進国では水の硬度が高いこと、
東南アジアでは水中の細菌によることが多いようです。
しかし、適度(70〜100mg/ιくらい)の硬度成分は、おいしい水の条件とされています。
9・鉄(0.3mg/l以下)
鉄は自然界に広く存在し、血液を造るために欠くことのできない成分ですが、
過量に含むと、着色や金気の原因となります。
多量に含む水の飲用で、下痢・嘔吐などの症状を起こす場合があります。
水中の鉄は地質に由来する場合が主ですが、配水管や工場排水などが原因となる場合もあります。
基準値は、主に外観・臭味に対して決められた値です。
水中に多量の鉄が存在するために、不快な臭味や苦味や外観、着色や混濁を与え、
茶・コーヒーなどの外観や味を害したり、洗濯物・陶器・食器類を赤褐色にしたりします。
10・テトラクロロエチレン(0.01mg/l以下)
11・トリクロロエチレン(0.03mg/l以下)
金属の洗浄・ドライクリーニングの溶剤として使われる揮発性の高い化学物質で、
動物実験により、発ガン性も指摘されています。
自然界には存在しない物質ですので、汚染の目安のひとつとなります。
活性炭による吸着や煮沸によって、簡単に除去することができます。
12・1,1,1-トリクロロエタン(0.3mg/l以下)
金属の洗浄溶剤などに広く使用されている揮発性の高い化学物質です。
毒性はテトラクロロエチレン、トリクロロエチレンより低いとされており、
動物実験では肝障害は認められていますが、発ガン性は認められておりません。
自然界には存在しない物質ですので、汚染の目安のひとつとなります。
活性炭による吸着や煮沸で簡単に除去できます。
13・一般細菌(100個/ml以下)
水中に生息する菌の総数を示し、その多くはいわゆる雑菌で、
必ずしも病原菌ではありません。
しかし、清浄な水には少なく汚染の激しい水ほど多いので、水の汚染の程度を示す目安となります。
14・大腸菌群(検出されないこと)
大腸菌群は、通常ヒトや動物の腸管内に生息します。
数種類の菌で構成される菌の総称です。
これらが水中に存在することは、人畜のし尿によって汚染されていることを意味し、
消化器系の病原菌が存在する可能性を示します。
水質検査の料金は?
静岡県生活科学検査センター(下記参照)へお問い合わせください。
静岡県生活科学検査センター
静岡市北安東4丁目27−2
電話 : 054-247−8595
受付 : 毎週月〜木(午前8時30分〜午後3時まで)